造り手の反対を押し切って誕生した最高峰の梅酒

酒米からこだわり、技術の粋を極めて造られた純米大吟醸「想定内」「想定外」。我々プロジェクトチームが送り出す最高品質の日本酒と同じ醪(もろみ)で搾った原酒で漬け込んだ「想定内 梅酒」もまた、製法や原料に極限までこだわった逸品です。

蜜のようにとろりと凝縮された甘味、芳醇な梅の酸味のバランスの絶妙さによりスタンダードな梅酒とは一線を画す味わいを生み出し、好評を博しています。

最高の梅酒づくりを目指し、妥協を許さない試行錯誤を経て生まれた「想定内 梅酒」のストーリーをお伝えします。

「想定内 梅酒」2020






酒蔵の反対を受けた「想定内 梅酒」

『「想定内」「想定外」で、梅酒を仕込んでみたい。』このアイデアを製造元の大信州酒造に相談したところ、当初は大反対を受けました。

「想定内 梅酒」は、「想定内」「想定外」と同じ醪でできた日本酒で仕込んでいます。人間の手で行う精巧さを極めた”袋搾り”ではないため、選りすぐりである純米大吟醸「想定内」「想定外」という銘柄は名乗れないものの、その品質に準じた素晴らしい風味を持つ高級日本酒の原酒です。

2017年、初めてこの梅酒を造ることを発案・相談した際、蔵元である大信州酒造の田中隆一社長の第一声は「そのような原酒を梅酒にするのはもったいない。この状態で十分に美味しいお酒なのだから、そのまま飲む方が良い」というものでした。

品評会クラスの最高級酒 純米大吟醸「想定内」「想定外」


その他にも反対を受けた理由のひとつには、アルコール度数の低さもありました。

通常の梅酒は、蒸留酒などアルコール度数の高いお酒で造りますが、「想定内」「想定外」の度数は、日本酒としての風味のバランスにこだわった約16度。梅酒として仕込むとさらに度数が下がり、雑菌が繁殖する恐れがあるのです。

近年、梅酒人気の高まりから、日本酒仕込みの梅酒も一般に目にするようになりましたが、鑑評会レベルの日本酒で仕込まれたものとなると、非常に希少です。前述のような懸念や困難に加え、優れた品質の日本酒で仕込むのにふさわしい梅酒を目指すには、良質な素材と卓越した職人の技術と経験が求められるからです。

リスクを理解した上でなお、「想定内」「想定外」シリーズで仕込む梅酒に可能性を感じた我々は、新たな試みとしてチャレンジしたいと蔵元を説得。「最高級の日本酒から仕込む特別な梅酒」をコンセプトとして、プロジェクトが始まりました。




最高の状態の完熟梅を手摘みで収穫

極上の梅酒をめざして造る「想定内 梅酒」。原材料にも妥協を許しません。梅の実は、長野の隣県で東日本最大の産地、群馬県榛名の契約農家が育てた南高梅を選定。


写真提供: 大信州酒造株式会社


通常は、梅が完熟することで自然に樹から落ちたものを収穫しますが、落下時に傷がつく恐れがあるため、落ちる直前の完熟梅を厳選し、手作業で手摘みされたものを使用します。粒のそろった傷みのない梅は、透明感のある爽やかな酸味を梅酒にもたらし、別格の美味しさをうみだすために必要な要素のひとつです。

手摘みした梅は、毎時毎分熟成が進んでしまうため、完熟し過ぎないうちに早急に原料処理を行う必要があります。熟し過ぎた梅を使ってしまうと仕込みタンクのお酒の中で形が崩れ、種から渋味成分のタンニンが抽出されてしまう恐れがあるためです。

程よく固い状態で早朝に収穫し、その日のうちに蔵へ。梅が届き次第、手間暇をかけた原材料処理をスピーディに行います。原材料の品質と処理のスピードは梅酒の味わいを左右する重要なポイント。近隣の契約農家との密な連携があればこそ、素材の魅力を最大限に引き出せるのです。




全て手作業。収穫から処理までを1日で


契約農家から届いてすぐに下処理を行います。傷をつけないよう全て人の手で慎重にヘタを取り、洗浄します。梅の実には野生酵母が付着しており、再醗酵や雑菌による腐造・汚染の原因となるため、丁寧に手作業で洗い流します。

写真提供: 大信州酒造株式会社


さらに、その後の「乾燥」の工程も非常に重要です。洗った梅は一つ一つ布で拭き上げ、梅同士が重ならないように並べて乾燥させます。カビ対策はもちろん、余分な水分が残っているとアルコール度数を下げてしまう恐れがあるため、細心の注意を払います。

写真提供: 大信州酒造株式会社


上記の工程を経て、手早くベストな状態まで下処理をした梅をすぐに冷凍庫へ。冷凍することで梅の品質を維持すると共に、梅の成分がお酒に浸潤しやすくなります。仕込むときにゆっくりと解凍されながら繊維が崩れることで、より高濃度に凝縮された梅エキスがお酒に取り込まれ、梅本来の芳醇な酸味が再現されるのです。大量の梅を冷凍する手間やコストも惜しみません。

冷凍した梅


このように、収穫から酒蔵での原材料処理・冷凍まで全てを1日で行います。しかもこれらの工程は全て手作業。このスピード感と手間が、最高の梅酒を生み出すために欠かせない秘密とこだわりなのです。




数か月熟成した無濾過原酒で仕込む

仕込みのはじめは、数百本にもなるボトルを1本ずつ丁寧に小さな桶に小分けに取り出し、順に大きなタンクへと投入していきます。

ボトルに詰められた原酒を手作業で取り出します


わざわざ瓶からお酒を取り出す理由は、フレッシュさや吟醸香を保ちながら、品質の安定化をはかるための”火入れ”の手法に起因します。

“火入れ”とは、日本酒の品質を安定させるための加熱処理の工程のこと。その手法はいくつかあり「想定内」「想定外」をはじめ、高品質の日本酒で採用されるのが”瓶火入れ”というもの。お酒をボトルに詰めて栓をし、お湯に浸すか、お湯をかけることで加熱します。日本酒として風味を損なわず、豊かな吟醸香を保ったまま、安定性をもたらすことができる、手間暇と技術が求められる手法です。

一般の日本酒仕込みの梅酒では、ほとんどがプレート式の熱交換器と呼ばれる機械などで大量の日本酒をタンクごと効率よく火入れします。しかし、大量生産ではない数量限定の最高級酒を追求する「想定内 梅酒」に使う原酒は、「想定内」「想定外」と同じ”瓶火入れ”を採用。ここでも機械を用いずに手作業による火入れを行うことで、機械ではできない繊細な温度管理を職人の手で行い、原酒の魅力と風味を最大限に活かします。

火入れ後も、風味・香味・品質を保つため瓶のままマイナス5度の冷蔵庫で貯蔵され梅酒の仕込みを待ちます。一度瓶詰めしたお酒を再度出すという、無駄とも言えるプロセスを辿ることになりますが、これらも全て日本酒の豊かな風味を梅酒の中に生かすための重要な作業なのです。




純粋な風味を生かすため
「想定内」「想定外」の酒粕焼酎で仕上げ

冷凍した梅を消毒するのも重要な工程のひとつ。梅の実をタンクへ入れる直前に、40%の高アルコールの焼酎を使い、梅の表面全体を手作業でしっかりと洗い流します。腐造のリスクとなる雑菌や、冷凍時についた余分な氷の塊を落とすための仕上げの工程です。

ここで使用するのは、「想定内」「想定外」シリーズの酒粕を蒸留してできた粕取り焼酎。梅の実に移るわずかな風味に着目し、余分なものを入れず、より純度の高い原料を使用します。原材料には入らない隠れた部分ではありますが、ここでも妥協を許しません。

最後の消毒も「想定内」シリーズの風味を


本来は消毒用ではなく、本数限定で発売する粕取り焼酎「Craft spirits Souteigai」であり、吟醸香が漂う香味豊かな蒸留酒。消毒においても徹底して純粋な想定内・想定外の風味を生かします。

※粕取り焼酎「Craft Spirits Souteigai」は熟成を待ち本数限定で発売予定です(時期未定)






試行錯誤を重ねた氷砂糖の自然対流

最後に、タンク内に氷砂糖を投入。「想定内 梅酒」では、粒の大きなロックサイズの氷砂糖を使用。さまざまな大きさの氷砂糖で試行錯誤を重ね、ベストなサイズに辿り着きました。大粒の氷砂糖がゆっくりと時間をかけて溶け込むため、梅の水分やエキス分もじわじわと抽出され、梅の実もきれいな状態を保つことができます。

氷砂糖を最後に投入するのは、タンクの上部から甘みが溶けて、梅エキスと日本酒が自然な対流をおこすため。すべての材料がゆっくりと溶け込んでいき、無理に撹拌することがないため、お酒にストレスをかけずに融合していきます。最後の工程まで手をぬかず、最高級の梅酒を追求します。




一つ一つの工程を手作業で

梅酒づくりのすべての工程は、大信州酒造の蔵人とプロジェクトチームのメンバーが協力して行います。10キロ単位の袋や原酒をかつぐこともある力仕事が中心です。

原材料処理から含めて、ここまで手をかけるのか、というこだわりと探求心、酒蔵のもつ高い技術力によって「想定内 梅酒」は仕込まれています。その上で、まるで「工芸品」のように一つ一つの工程に手をかけた丁寧な手しごとが、人の心に感動をよぶ ”梅酒”へと昇華させるのです。

プロジェクトチーム




貯蔵、熟成を経て円熟味が増してゆく

仕込みが終わった後、衛生管理された酒蔵のタンク内で、約半年ほどかけてゆっくりと梅のエキス分とお酒が融合し、再び瓶詰めされ、マイナス5度で冷蔵貯蔵され出荷の時を待ちます。

梅のエキスが染み込み、ほどよく熟成された梅酒はやや赤みを帯びたクリスタルゴールドの輝きに。さらに年を経て熟成させることで、日本酒と梅エキスが渾然一体となり丸みを帯び、さらに深みが増すことでしょう。

美しい輝きを持って生まれた「想定内 梅酒」


そのうちの一部は、天然の冷蔵庫「風穴」で貯蔵され、約3年以上たったものが「風穴熟成」として販売されます。岩肌から吹き込むやわらかな自然の冷風によって、格別な味わいへと変化するのも熟成の可能性が魅せる面白さ。

その年の造りのわずかな違いが、貯蔵する場所などの要素によって、年を経て個性が際立ちます。それぞれのヴィンテージで、味わいの違いを比べてみるのも楽しみのひとつです。

2017〜2020ヴィンテージ


(各ヴィンテージのテイスティングコメント)
2020 甘みと酸味が抑え目で、歴代で最も軽やかな香味
2019 酸味と甘みのバランスが良い優等生
2018 甘みがやや強めで旨口なヴィンテージ
2017 手もぎした南高梅が持つ高級な酸味と数年経過した落ち着きを見せる(完売)
2017風穴熟成 風穴が作り出した別格の品と香り。自然がもたらした変化をお楽しみください 

ほんのりと吟醸香を漂わせ、濃厚な甘やかさと上質な酸味がバランスよくまとまった「想定内 梅酒」。しっかりと冷やし、ワイングラスで芳醇な香りを楽しみながら、味わっていただくのがおすすめ。

しっかりと冷やしてストレートで


とろりとした舌触り、品よく引き締める梅の芳香、熟成によって深み増した唯一無二の梅酒の奥深さをご堪能ください。






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